昇進に役立つ |IT資格の第1位!

島津 忠承=日経SYSTEMS2017/08/21
サラリーマン

 「基本情報技術者」はとりあえず取る。しかし実務では、あの資格のほうがやはり役立つ。日経BP社が2017年7月に実施したアンケートによって、IT資格に対するITエンジニアの率直な声が明らかになった。

最近、ITエンジニアの資格の取得意向が高まっている。情報処理推進機構(IPA)が実施する各種の情報処理技術者試験の2017年度春期の応募者数は、セキュリティ系を除いてすべて前年同期を上回った。秋期もこの勢いが続くと、年間の応募者数は6年ぶりに50万人を超える見通しだ。IPAの山内健二IT人材育成本部情報処理技術者試験センター副センター長は、「景気が回復傾向にあるうえ、ユーザー企業でも試験の価値を評価する割合が増えてきた」と話す。

とはいえ、ITエンジニアはあらゆるIT資格を手当たり次第に取得しようとしているわけではない。技術動向の変化などの影響を受け、従来は定番とされていたにもかかわらず存在感が薄れた資格もある。「いる資格」「いらない資格」は時代とともに変わるのだ。

では、ITの現場で今いる資格といらない資格は何か。これを探るため、日経BP社はITproで「IT資格実態調査」を実施し、417人から回答を得た。以下で、調査結果から浮かび上がったIT資格の実態を紹介しよう。

IPAの試験が上位独占

まずはITpro読者が保有するIT資格を見ていこう。図1は「保有している」という回答が10人以上のIT資格を、保有者数順に並べたものだ。1位は「基本情報技術者」で、全回答者の6割弱に相当する241人が保有している。

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図1●保有する資格
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2位は、回答者の45.6%を占めた「応用情報技術者」(190人)。3位は「ネットワークスペシャリスト」および「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」が21.3%(89人)で並んだ。IPAの試験が上位を独占した格好だ。一連の結果についてIPAの山内氏は、「基本情報技術者はやや少ないと感じるものの、全体的には高く評価してもらえている」と話す。

一方、民間資格で保有者数が多かったのは、全体で7位の「ITIL系(ITILファンデーション試験など)」の14.6%(61人)と、同10位の米オラクルの「データベース分野(ORACLE MASTER、認定MySQLなど)」の12.7%(53人)である。

ITILは、ITサービスの選定、調達、運用管理にかかわるベストプラクティス集。クラウドや各種アウトソーシングサービスの採用がユーザー企業の間で進んでおり、資格への注目度が高まったと考えられる。オラクルのデータベース分野については、定番データベース製品ならではの強さが感じられる。

読者が選ぶ最も役立つIT資格は…

保有者が多いからといって、その資格が必ず「いる資格」であるとは限らない。保有しても特に効果を得られなかった人からすれば、「いらない資格」となる。では、どの資格が実際に効果があるのか。

そこで資格を保有する回答者に、資格を取得して得られた効果について質問した。効果が高い順でランキングを付けたのが、表1である。

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表1●効果があった資格ランキング
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評価項目は「実務に役立った」「昇格・昇進に役立った」「転職に役立った」「昇給や報奨金を得た」の四つ。その割合をポイント化し、合計点(最高400ポイント)で順位を付けた(保有者数が20人未満の資格を除く)。すると、上位に名を連ねる資格の顔ぶれが大きく変わった。

最も効果がある資格となったのは、総合点150ポイントの「PMP(Project Management Professional)」。「実務に役立った」という項目での回答が66ポイントと保有者の3分の2に達した。さらに「昇格・昇進に役立った」と「転職に役立った」の各項目でともに第1位だったことが、総合順位に効いた。

プロジェクトマネジメント関連の資格は、IPAの「プロジェクトマネージャ」試験も3位に入った(133ポイント)。プロジェクトを円滑に運営したいIT現場のニーズに、各資格が相応の効果を発揮しているようだ。

実務に強いシスコ

評価項目別に見ると、「実務に役立った」で最もポイントが高かったのは、米シスコシステムズの「ルーティング&スイッチング分野(CCNA/CCNP/CCIE Routing and Switching)」だった。76ポイントを獲得し、総合点でも132ポイントと4位に入った。ITベンダー資格の中では、回答者から最も役立つと評価されている。

「昇格・昇進に役立った」と「転職に役立った」の1位は前述の通りPMPで、昇格・昇進が20ポイント、転職は27ポイントだった。また、「昇給や報奨金を得た」で最もポイントが高かった資格は「ITサービスマネージャ」で、60ポイントだった。

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