千葉県警の鈴木美穂巡査部長=15日午後0時54分、千葉県市原市の市原署、八木拓郎撮影

■法曹資格を持つ千葉県警の巡査部長 鈴木美穂さん(36)

司法試験に合格して司法修習を終了した人が現場の警察官になるのは、極めて珍しい。万引き、空き巣、傷害。法知識をフルに活用し、交番や警察署の刑事課で事件に向き合ってきた。「前科前歴は人生に大きな影響を与える。間違いは許されません」

静岡県富士市出身。数学が好きで、大学では物理を学んだ。転機は就職した学習塾での経験。不登校や虐待に悩む高校生の教え子たちに対し、話を聞くことしかできなかった。無力だった。

ログイン前の続き「法に精通すれば困っている人を助けられるはず」。塾を半年で辞め、24歳で法科大学院へ。6年後、3度目の挑戦で司法試験を突破した。いつも夢を応援してくれる両親が支えてくれた。

被害者の訴えに最初に耳を傾け、容疑者を絞り込み、客観証拠をそろえ、犯罪事実を組み立てる――。司法修習生として実務を学び、刑事事件にはまった。「主役は警察だ」と確信した。

警察官になって4年半。「まだまだ下積み」(上司)ながら、充実した日々だ。自転車盗で摘発した男性から、「改心」を誓う手紙が届くことも。9月からは市原署でサイバー犯罪や風俗事件を担当している。目標は、殺人など人命に直結する凶悪犯罪を担当する捜査1課の指揮官だ。

「捜査に軽重はありません。自分が関わる全ての事件を正確に処理したい」(八木拓郎著)