消防設備士甲種5類 実技対策(鑑別・製図)
消防設備士甲種5類の、実技対策についてお話しします。
鑑別対策
・各種避難器具の名称、部品の名前
金属製避難はしご・救助袋(斜降式・垂直式)・緩降機
金属製以外の避難はしご・避難橋・避難タラップ・すべり台・救助ロープ・すべり棒
・工具の名称と用途
トルクレンチ、モンキーレンチ、スパナ、ノギス、ハクソーなどなど
・点検(試験)方法
・避難空地
といった問題が出題されます,これらの問題は筆記(構造~規格)でも,重複して出題される論点なので択一式の勉強のついでに実技の出題形式を想定した勉強をしましょう特に数字や用語(名称)用途は答えられるようにしておきましょう。
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製図対策
5類の製図は
(建物の平面図を参照のうえで)
・この階の収容人員を計算し、避難器具の最低設置個数を計算する。
・どの窓に避難器具を設置するのが適当か?
・適切な避難器具の種類を選択する
・避難空地・操作面積
・適切な工法を選択する(金属拡張アンカーなど)
・曲げモーメントなどの計算問題
・設計基準強度
といった問題が出題されます。
ザックリいうと、1問が図面を使った避難器具設置に関する問題(法令系)、もう1問が工事系の計算問題が出題される傾向があるようです。どちらも計算問題が重要です。
1類・4類のような、平面図・系統図の作成問題は出ません。
図面に書き込むとしたら、せいぜい避難器具の設置場所をマークするとか、操作面積を書き込む程度のものです。
5類の製図問題の攻略のポイントの一つ目は、「避難器具に関する基準」です。
5類の避難器具の設置基準は、消火設備(1・2・3類)や警報設備(4・7類)と少し異なります。
「防火対象物の用途・人数(収容人員)・階数」によって、設置できる避難器具や個数が決まるところが特徴といえます。
合否をわけるポイントは、用途の分類、収容人員計算、避難器具の個数の計算、設置可能な避難器具の種類です。
防火対象物の区分 | 収容人数 | 避難器具の個数 | |
消防法施行令
25条第1項 |
病院・老人介護施設系 | 20人以上 | 収容人数100人以下毎に1個以上設置 |
第2項 | ホテル系 | 30人以上 | 収容人数100人以下毎に1個以上設置 |
第3項 | 劇場・飲食店・学校・図書館など | 50人以上 | 収容人数200人以下毎に1個以上設置 |
第4項 | 工場・倉庫・事務所など | 近い・無窓階100人以上、その他の階150人以上 | 収容人数300人以下毎に1個以上設置 |
第5項 | 3階以上の階で、避難階段・又は地上に直通する階段が2つ以上設けられていない階 | 10人以上 | 収容人数100人以下毎に1個以上設置 |
最初から一つ一つ細かく覚えるのは面倒なので、まずはこの1~4項の分類をザックリを覚えること、傾向としては「自力で避難することが難しい人が多い」「不特定多数が出入りする防火対象物」ほど設置基準が厳しくなる、というイメージをつかんでおくことが大事です。
最終的には、ここの論点は試験本番までにはある程度しっかり覚えておく必要があります。
というのは、1項から4項ごとに、収容人員の制限や設置できる避難器具が異なるわけですが、そもそもどの防火対象物が1~4項に分類されるのかがわからないと、収容人数や個数の計算もできないからです。
実際に問題を解く時は、文中・図中のどこに注目すればよいかというと、
「(別表第一の)防火対象物の用途」
「階数」
「階段の個数、階段の場所(屋外?屋内?)、階段の種類(避難階段又は特別避難階段)」
「下階の用途」
「建物の構造(耐火構造)」といったところがポイントになります。
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なぜこれらのチェックが必要なのかというと、
・3階以上の階※で、避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない階(25条第5項)→規制強化:10人以上から設置
(※別表第一(二)項及び(三)項の防火対象物は2階)
・下階に同表(一)項から(四)項まで、(九)項、(十二)項イ、(十三)項イ、(十四)項又は(十五)項に掲げる防火対象物が存する場合→規制強化:10人以上から設置
・避難器具の設置個数の減免(消防法施行規則第二十六条)→緩和規定
の例外規定に該当するかどうかを確認するためです。
ちなみに、筆記試験対策では、25条第1項~第5項のどれが問われてもよいように勉強する必要があるんですが、実技(製図)問題では、「飲食店」「ホテル」「病院・老人介護施設」といった防火対象物が狙われやすいという印象をうけました。
その理由は、
・飲食店(25条第3項)…25条第5項との絡みでひっかけ問題を作りやすい
・ホテル(25条第2項)…1項・3項と被っている箇所or異なる箇所が混在しているが故に知識が混乱しやすい
・病院・老人介護施設(25条第1項)…設置基準が2項(ホテル系)よりも更に厳しい、設置できる避難器具の制限が厳しい
からです。
参考:設置可能な避難器具
防火対象物の区分 | 適応する避難器具 | ||||
地階 | 2階 | 3階 | 4・5階 | 6~10階 | |
(6)項 | 避難はじご
避難タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ |
滑り台・救助袋・暖降機 | 滑り台・救助袋・暖降機 | 滑り台・救助袋 |
(5)項
(1)~(4)項 (7)~(11)項 |
避難はじご
避難タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ・すべり棒・避難ロープ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
(12)(15) | 避難はじご
避難タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
|
3階以上の階で避難階又は地上に直通する階段が2つ以上設けられていない | 滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ・すべり棒・避難ロープ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋・ 避難用タラップ |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
滑り台・避難はしご・救助袋
暖降機・避難橋 |
これらの論点は、筆記の法令類別でもよく狙われる重要な論点なので、特に力をいれて覚えてください。
※余談…管理人受験の回では、建物の平面図以外に、建物周辺の地図が図示されていました。
最初、「建物周辺の地図?避難器具の計算問題と何の関係があるのか?」と不思議に思ったのですが、(周辺地図で)建物そばに流れている川と建物の距離が0.4mとなっているのを見たとき、「もしかしてこれは【避難空地の確保ができるかどうか】も考慮して避難器具の設置場所を選択しなさい」ってことなのかと思いました。
これは問題集にないパターンの引っ掛け問題でした。
実はコレ、最初思いっきり引っかかってしまって…終了前の見直しで避難空地のことを思い出して(鑑別の問題に避難空地の問題が出ていたから)、あっ!コレも避難空地だ!とピンと来たので、避難空地の確保ができそうな窓を選択しなおしたのでした。
もう一つのポイントは、アンカーボルトや構造計算などの工事分野です。
ここは、構造・機能の工事分野と、基礎的知識の計算問題(荷重、曲げモーメント・曲げ応力)とセットで勉強すれば大丈夫でしょう。
避難器具の取り付け具を固定部に取り付ける工事方法
→金属拡張アンカー工法、貫通工法、バランス工法
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参考 アンカーボルトの表(覚える)
アンカーの呼び径 | M10 | M12 | M16 | M20 |
埋め込み深さ(mm) | 40 | 50 | 60 | 80 |
穿孔深さの下限(mm) | 60 | 70 | 90 | 110 |
最小間隔(mm) | 140以上 | 175以上 | 210以上 | 280以上 |
へりあき寸法(mm) | 80以上 | 100以上 | 120以上 | 160以上 |
コンクリート厚さ(mm) | 120 | 150 | 180 | 200 |
穿孔深さの限界(mm) | 70以下 | 100以下 | 130以下 | 150以下 |
※最小間隔:埋込深さの3.5倍
※ヘリあき寸法:埋込深さの2倍
※穿孔深さの限界…コンクリートの厚さに対する穿孔深さの最大値、残値を50㎜以上とすること。